novelnove第1回コンテスト「夏の日」へのご参加ありがとうございました!

第1パラグラフへの応募229作品でスタートし、後続パラグラフへの投稿数は625、期間内に完結したノベル数は31となりました。

田丸雅智氏による審査の結果、5作品の入賞が決定いたしました。

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大賞

星の魂送り

ひゆき/虚木 幽/lalalacco/113/絢水/ぱっちん/aoto'/風上壱悟/ヒイラギ

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大賞

星の魂送り

ひゆき/虚木 幽/lalalacco/113/絢水/ぱっちん/aoto'/風上壱悟/ヒイラギ

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講評(田丸雅智)

山の上にのぼっていく灯篭という幻想的な設定に心惹かれた。その催しに単に参加するだけでなく、新たな仕掛けがどんどん出てくる。無理なく、じつに自然にだ。そして、胸にじんわりと沁みる結末。圧倒的な情景。自分まで救われるような気持ちになった。読めば読むほど印象が深まる傑作。

・パラグラフ別のコメント
1.流れに逆らう灯篭、星の欠片、幼馴染、天の川など、濃密なキーワードが多々含まれている点がお見事。
2.三紀彦が今年は星を探した、という伏線がお見事。
3.川というテーマの中、兄の死因に川をもってきた点がお見事。
4.菱和を登場させ静穏をかき乱した点がお見事。
5.菱和のキャラの深掘りがお見事。
6.灯篭を爆発させた勇気がお見事。
7.爆発の回収、そして子供の真逆の反応を描いた点がお見事。
8.子供の意外な反応の、さらに上を行く主人公の意外な反応を描いた点がお見事。
9.三紀彦に加え、菱和を最高の形で回収した点がお見事。ラスト一文も秀逸。

優秀賞

虫がいただけ

しよこれいと/ラナン/ユリア/aoto'/Fumi/ぱっちん/'靉'/lalalacco/ときたま

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優秀賞

虫がいただけ

しよこれいと/ラナン/ユリア/aoto'/Fumi/ぱっちん/'靉'/lalalacco/ときたま

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講評(田丸雅智)

冒頭のパラグラフがあまりに異様で、ともすればその異様さを活かし切れず暴走、あるいは急速に萎んでいってしまいそうなところを、絶妙のバランスで結末まで展開していった点が素晴らしかった。鍵となる「虫」の出しどころもよく、全体に漂う異常性にも引き込まれた。

・パラグラフ別のコメント

1.「虫がいただけ、ただ虫がいただけ」 という台詞や、体内から見つかった毛髪や指など、極めて異様な設定がお見事。
2.依頼者を連れてこさせ、意味ありげにした点がお見事。
3.自分を疑わないのか、という問いを最後に持ってきた点がお見事。
4.秘められた事実の列挙がお見事。
5.女性の噓に迫った最後の一文がお見事。
6.前のパラグラフへ応えつつ、停滞させることなく次の展開を示唆した点がお見事。
7.冒頭の「虫」を一気に回収した点がお見事。
8.「虫」にこだわる女性の異常性の描き方がお見事。
9.半ば支離滅裂な台詞、そして冒頭の印象的な台詞の回収がお見事。

優秀賞

宝石飴屋の姉妹

雨音/kam/ユリア/aoto'/あおい鱗/lalalacco/113/Felicia/紬歌

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優秀賞

宝石飴屋の姉妹

雨音/kam/ユリア/aoto'/あおい鱗/lalalacco/113/Felicia/紬歌

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講評(田丸雅智)

宝石飴屋という不思議でワクワクするアイデアに引き込まれた。また、ストーリーに宝石と飴、どちらの特徴もうまく織り交ぜられていたところも素晴らしかった。全体として若干ふんわりした印象はあるものの、このファンタジックな設定によってカバーされていたように感じた。

・パラグラフ別のコメント

1.飴玉の描写に宝石を持ってきた点がお見事。
2.宝石飴屋という魅力的な設定を出した点がお見事。
3.宝石飴屋の深掘り、そして対のレシピ帳の存在で謎を提示した点もお見事。
4.対の謎への返答と、さらりとした過去の描き方がお見事。
5.前のパラグラフの伏線を活かし、彼を取り合った、と設定した点がお見事。
6.宝石にうまく掛かった、説得力のある彼の素性への言及がお見事。
7.わだかまりを明かし、次の展開へ宝石飴を絡めて終わらせた点がお見事。
8.女との確執を描く際に宝石を絡めた点がお見事。
9.シンプルな仲直り譚にせず、その後の展開を想像させる結末にした点がお見事。

佳作

俺達の夏にできないことなんてない

ぱっちん/あおい鱗/Dr.K/いのり/pinoco/113/ユリア/すくな/aoto'

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佳作

俺達の夏にできないことなんてない

ぱっちん/あおい鱗/Dr.K/いのり/pinoco/113/ユリア/すくな/aoto'

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講評(田丸雅智)

水たまりへダイブするというアイデアが好みだった。浮世離れした感じの兄のおかげで、不思議な現象にある種の説得力が宿っていたように感じた。一方で、展開にもう少し必然性を持たせるか、あるいは振り切ってさらにナンセンスにしてもよかったかもしれない。

佳作

夏の恋人

lalalacco/'靉'/misato/113/noname/mono/aoto'/風上壱悟/ヒイラギ

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佳作

夏の恋人

lalalacco/'靉'/misato/113/noname/mono/aoto'/風上壱悟/ヒイラギ

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講評(田丸雅智)

夏を食べたと言って失踪した彼女という設定が魅力的で、そこから描かれていく夏にまつわるモノの描写もとても素敵だった。一方で、ロジックをもう少し詰めたり、それぞれのパラグラフの密度を高めて展開を早めてもよかったかもしれない。

コンテスト総評

田丸雅智

リレー小説で求められるのは、チームプレーだ。スターひとりが牽引するワンマンチームでは決して良い作品は生まれない。自分の役割を理解して、あるときは黒子に徹し、あるときは自ら前へと出ていって、チームのみんなで試合を作りあげねばならない。

特に受賞に至った作品からは、各プレイヤーの高い意識と卓越した技量が感じられた。前の人から受けたパスをただ流してしまわずに、自分なりに解釈し、昇華したのちに次へと渡す。そのパスも、次の人のプレーを縛ってしまうものではなく、想像力を掻き立てて、アイデアに富んだ豊かなプレーを引き出しうるものになっていた。一見するとムチャ振りに思えるパスも、予定調和を避けるための計算されたキラーパスであったりし、脱帽した。

審査をさせていただいて、爽快なスポーツの試合を見せてもらったようだった。身体が疼き、自分もプレーに加わりたい衝動に襲われた。選手たちに敬意を表し、観客席から大きな拍手を送りたい。

いまからすでに、次の試合が楽しみだ。

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